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Statement
Deep forest
―記憶と静寂の森―
作品は、霧や霞に象徴される「記憶」や「静寂」、そして意識 と無意識の境界にある世界をテーマにしています。霧は、視界だ けでなく時間や感覚の境界も曖昧にする存在として、私の作品の 中心にあります。 モチーフは主に森や植物で、とくに冬のドイツの森を継続的に 撮影してきました。曇天や霧、冷たく静まり返った空気の中に佇 むことで、視覚を超えた記憶や感情に触れるような体験が、イン スピレーションの源となっています。 制作では、極薄の雁皮紙に画像を転写し、何層にも重ねる技法を 用いています。このプロセスによって、奥行きと抽象性が生まれ、 イメージは霧のように掴みどころのないものへと変化していきま す。完成をイメージしながらも、制作過程ではコントロールでき ない曖昧さもあり、それもまた表現の一部と捉えています。 今回は、森の作品に加え、薔薇をモチーフとした新作も展示して います。具体的な花のかたちから始まり、印象が重なり変化して いく過程を表現しています。
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